いつか、小さなお店を開きたいと思っています。
古い本が並んでいて、雑貨が置いてあって、コーヒーの香りがする場所。学校のある日の昼間に、子どもがふらっと入ってきて、カウンターで算数のドリルを広げる。
「ねえ、ここわかんないんだけど」
そんなふうに声をかけられたら、「どれどれ」と一緒に考える。
「オレンジジュース飲む?」
「クッキーも焼いたけど、食べる?」
そんな何気ない会話が交わされる場所をつくりたいのです。
子どもがお金を持っていなくても、何かを買わなくても、そこにいられる場所。勉強をしなくてもいい。本を読んでいても、絵を描いていても、ただ座っていてもいい。
わたしがつくりたいのは、そんな日常です。
本当につくりたかったのは、お店ではありません
わたしは、もともと子どもの居場所に関わる仕事がしたいと考えていました。
子どもが、学校でも家庭でもない場所で、安心して過ごせる。自分で行きたいと思ったときに行けて、帰りたいと思ったときには帰れる。
そんな場所をつくりたかったのです。
最初は、自宅でもいいと思っていました。けれど、子どもの安全や、家族のプライバシーを考えると、生活する場所と子どもを迎える場所は分けたほうがいい。そう考えるようになりました。
ただ、別の場所を借りれば、当然お金がかかります。家賃も、光熱費も、維持管理の費用も必要です。それなら、その場所自体が収益を生み出せるようにしたらどうだろう。
そうして考えたのが、古書と雑貨とカフェを組み合わせた実店舗でした。
つまり、わたしにとって、お店を開くことは目的ではありません。
子どもが安心して過ごせる場所を、無理なく維持していくための方法のひとつなのです。
子どもの居場所を考えて、女性の問題にたどり着いた
子どもの居場所について考えていたとき、わたしは、あることに気づきました。
子どもが家庭で安心して過ごせない背景には、家庭内の暴力や経済的な困難、保護者が抱えるさまざまな事情、そして社会の仕組みが関わっていることがあります。特に、子育てや家事の責任が女性に偏りやすい社会では、女性が置かれている状況も、子どもの暮らしと無関係ではありません。
経済的な困難。
家庭内での役割の偏り。
パートナーからの暴力。
仕事と育児の両立。
社会から求められる「母親らしさ」。
こうした問題の中で、余裕を失ってしまう人もいます。
もちろん、子どもへの暴力や虐待が許されるわけではありません。また、家庭の問題を母親だけの責任として考えることもできません。けれど、子どもが安心して過ごせる社会をつくるためには、子どもだけを見ていても足りないのではないか。そう考えたことが、わたしが女性の支援に関わる仕事を始めた理由のひとつでした。
実際に女性の支援に携わる中で、女性たちが置かれている状況や、社会の中にあるジェンダーの問題について、さらに考えるようになりました。
そして、もうひとつ大切にしたいことがあります。
女性を支える理由は、子どものためだけではないということです。
母親であっても、母親でなくても。誰かを育てていても、育てていなくても。
女性は、一人の人間として尊重されるべき存在です。
CAFEあいあむが、女性と子どもの両方の問題を大切にしているのは、そうした考えがあるからです。
善意だけに頼らず、続けていくために
子どもたちに、無料でオレンジジュースを出したい。学校に行っていなくても、わからない勉強を無料で質問できる場所をつくりたい。そんなことを考えています。
でも、無料で提供することと、費用がかからないことは違います。ジュースにも、クッキーにも、お金がかかります。場所を維持するためには家賃が必要です。子どもたちを迎えるためには、安全を守る体制も必要です。そして、そこで働く人には、きちんと報酬を支払いたいと思っています。
誰かの善意や無償の労働だけに頼っていては、長く続けることが難しくなってしまいます。もちろん、寄付やボランティアによって支えられる活動にも、大切な役割があります。
ただ、CAFEあいあむは、人が安心して過ごせる場所を、事業として維持できる仕組みを育てていきたいと考えています。
わたし自身も、この事業で生活していきたい。一緒に働く人たちにも、安心して生活できるだけの報酬を支払いたい。そして、誰かが休んだときにも、活動が止まらない仕組みをつくりたい。
それは、社会的な活動を続けるために、必要なことだと思っています。
稼ぐことは、誰かを休ませることにもつながる
CAFEあいあむでは、WEBメディアの運営をはじめ、学び部、創作部、出版、物販など、さまざまな事業を育てていく予定です。
記事を届ける。
本や雑貨を販売する。
学びの機会をつくる。
作品を発表し、販売する。
そうして生まれた収益を、事業を続けるための費用や、働く人への報酬、新しい活動のための資金にしていきます。その中には、子どもたちに無料で届けたいものもあります。
例えば、学校に通っていない子どもたちが、学校の教科についてわからないことを無料で質問できる「オンライン寺子屋」。現在、早期開設に向けて準備を進めています。学びたいと思ったときに、お金を理由に諦めなくていい選択肢を、ひとつ増やしたいと考えています。
将来的には実店舗も構え、子どもがふらっと立ち寄れる場所を育てていきたいと考えています。その一方で、学び部の有料講座や、創作部の作品販売など、収益を生み出す事業も育てます。
お金を払える人だけが安心できる場所ではなく、お金を払わなくても安心できる場所を維持するために、収益を生み出す。
それが、わたしたちの考える経営のひとつの形です。
そして、もうひとつ。
CAFEあいあむは、働く人が休めることも大切にしたいと考えています。誰か一人が休んだら事業が止まってしまう。無理をしなければ、収入が得られない。そんな仕組みでは、安心して働き続けることが難しくなります。
だからこそ、仕事を分担し、休んでも続けられる仕組みをつくっていきたいのです。
人を休ませるためにも、利益が必要なのだと思います。
選択肢を増やす事業へ
CAFEあいあむが目指しているのは、子どもたちに何かをさせることではありません。
学びたいと思ったら、学べる。何かをつくりたいと思ったら、つくれる。作品を発表したいと思ったら、発表できる。働いてみたいと思ったら、挑戦できる。
そして、今は何もしたくないと思ったら、何もしなくてもいい。
そうした選択肢を増やすことです。
選択肢は、子どもたちだけのために増やすものではありません。女性にも、さまざまな事情を抱えている大人にも、自分の人生を選べる道がもっとあっていい。誰かに決められた役割だけで、生きていかなければならないわけではありません。
わたしたちは、事業を育てながら、そうした選択肢を少しずつ増やしていきたいと考えています。
一緒に、選択肢を増やしていきませんか
この構想は、まだ始まったばかりです。
オンライン寺子屋も、実店舗も、これから形にしていく事業です。
実現するためには、資金も、人も、知識も必要です。
だからこそ、CAFEあいあむの考えに共感してくださる個人や企業、団体のみなさんと、一緒に取り組んでいけたらと思っています。
例えば、学びの機会を支えること。子どもたちが作品を発表できる場所を増やすこと。新しい仕事の機会をつくること。活動を継続するための資金を支えること。
協力の形は、ひとつではありません。
ただし、わたしたちが大切にする理念や、記事を届ける編集部の独立性は、協賛や連携によって変わるものではありません。
すべての人は、一人の人間として等しく尊重される。
この考えを大切にしながら、CAFEあいあむは、収益を生み出す事業を育て、人が安心して過ごせる場所と、自分で選べる道を増やしていきます。
活動へのご協力や協賛、取材・共同企画、お仕事のご相談などがありましたら、CAFEあいあむの「おたより」からご連絡ください。
今すぐ一緒に何かを始めることが難しくても、まずはお互いの活動や考えを知るところから、ご縁を育てていけたらうれしいです。
いつか、お店のカウンターで、子どもにこう聞ける日が来たらいいなと思います。
「オレンジジュース飲む?」
「クッキーも焼いたけど、食べる?」
その何気ない日常を、一度きりではなく、ずっと続けていけるように。
わたしたちは、そのために、事業を育てていきます。
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